生酛仕込み2年熟成
純米

黒とんぼ 生酛純米酒~山田錦~
「自ら栽培した酒米」と「手間を惜しまない生酛(きもと)造り」、そして、「2年間の熟成期間」を経て醸す泉橋酒造の「生酛純米酒」それが「黒とんぼシリーズ」です。
その中、中心となるのが、この酒米の王者・山田錦で醸す「黒とんぼ~山田錦~」です。
◎「酛(もと)」とは何でしょうか?
通常酒造りは 精米 ⇒ 洗米 ⇒ 蒸米 ⇒ 麹作り(こうじカビの培養)
⇒酛(もと)造り(酒母造り、酵母の培養)⇒ モロミ(主発酵)⇒ 絞り(上槽)⇒ 生原酒!
という工程で造ります。この「酛(もと)」とは、つまり培養した酵母、酒の元であり、酒の母となるものを意味した言葉です。
であれば「酵母」でいいじゃないか!と思われるかもしれませんが、そこは伝統ある酒造りですから、昔からの言葉も大切にしています。
◎「生酛(きもと)」とはなんでしょうか?
では、生酛は何か?というと次の図をご覧ください。
「生酛」という酵母を培養した酒母(しゅぼ)は、遡ること17世紀の江戸時代に完成しているとても伝統ある酵母の培養の方法です。なんと400年も前のことです。
そして、江戸から明治に時代が変わります。明治期の日本において、「酒税(もちろん日本酒が中心)」は、なんと国税の1/3も占めていました。とても日本国民とって大切なアルコール飲料だったのです。そこで時の大蔵省は、もっと研究する必要性から、明治37年に醸造試験所を創設し、明治42年に「山廃酛(酒母)」と「速醸酛(酒母)」を開発しました。そこから、酒母の作り方、つまり、酵母の培養の仕方のレパートリーが増えたわけです。
(生酛と山廃については、後段をご覧ください)
(写真)生酛造りにおける「山卸(やまおろし)」工程。
山卸は、全部で2日間の作業になる手間のかかるものです。しかし、そこは醸造家たちの日本酒に対するロマンや畏敬の念がたっぷりと詰まったものです。
生酛酒母の山卸作業工程は、次の2日間です。
(1日目)蒸米⇒埋け飯(いけめし)⇒半切桶へ材料の混合(埋け飯、米麹、仕込み水)⇒手酛(手で材料をほぐす、均一化する)×3回
(2日目)1番櫂(1回目に山卸)⇒午後から2番櫂(山卸)⇒寄せ(半切り桶から酒母タンクへ)
結構いろいろと作業が多いもので、この山卸関連の2日間の作業を別の方法に置き換えたものが、「山廃酛」や「速醸酛」となります。
生酛は、「寄せ」のあろ凡そ30日間ほど手間をかけて、酵母を培養していきます。
ちなみに、山廃酛も同じ30日ほど、速醸酛は約2週間ほどの時間がかかります。
◎【日本酒の豆知識】生酛(きもと)と山廃(やまはい)について
~ともに酒母 (酛もとも同じ意味)の造り方の一つで、昔ながらのやり方です~
酒母とは、大きな仕込み桶でお酒を仕込む前に、小さな仕込み桶でお酒を仕込みその中でアルコール発酵に必要な酵母菌(イースト)を育てたものを指します。ですから、酒母の段階では、元気な酵母菌を増やすことが第一の目的です。
酒母は麹米、蒸米、水に酵母を加えて造ります。この時空気中からいろいろな微生物(ここではあえて雑菌と呼びましょう)が入ってきます。
それらの余計な雑菌の繁殖は抑えて、優良なお酒の酵母だけを増やしたい、そこで強い味方になるのが「乳酸」です。
乳酸は今では液体になって市販されていますので、酵母を入れると同時に、乳酸を投入すればよいのです。これは戦後に普及しました。このやり方を①速醸酛(そくじょうもと)、といいます。
しかし、昔は乳酸は売っていなかったわけですから、どうしていたのかというと・・・
自然界に存在する乳酸菌を取り込むために米や米麹を擂り潰し、溶かして、乳酸菌が発生しやすい環境を作ってじっと待っていました。米を擂り潰す作業は「山卸(やまおろし)」、もしくは、「酛すり」とも呼ばれ、今でも大勢で行う重労働です。
酒屋唄の中には「もとすり唄」もありますが、眠気覚まして活気付くためと、時間を計るために唄っていたのでしょうね。
このように山卸作業を行うのが②生酛(きもと)造りです。この方法は、江戸時代のはじめ、つまり、17世紀の後半に出来上がった醸造方法で、とても歴史があります。
③山廃(やまはい、山卸廃止酛)造りは、米をわざわざ擂り潰さなくても蒸し米を投入する前に、先に水の中で麹の酵素を溶かして置くこと(水麹 みずこうじ と呼びます)、つまり、材料の投入順序を変えることで同じ様に出来ることが明治期後半になってから分かりました。また、山廃造りと同時に現在主流の速醸酛造りも考案されています。
キツイ作業をしなくて済む、嬉しかったでしょうね。
すなわり、「山卸」を「廃止した酛」、これを略して山廃(やまはい)、というわけです。
酒母が出来上がるまで、①速醸酛が約2週間で出来るのに対して、②生酛・③山廃酛はひと月かかります。
②、③は、速醸酛で仕込んだ酒より、より自然界の味わいが活きており、味に幅があります。速醸酛造りは、透明感のある酒質に適しています。
(乳酸やアミノ酸が多いので、お燗向きでも)
また、火入れして寝かせたお酒はお燗するとまた格別の旨さです。
◎酒造りの全工程は以下をご覧ください(5分)途中、生酛の山卸(2分30秒~)の動画も見れます。
特定名称
純米酒精米歩合
65%酸度
1.6日本酒度
8アルコール度数
16度使用米
山田錦おすすめ温度
10~55
1800ml
3500円+税
720ml
1750円+税