蔵元日記

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2022/04/10

とんぼラベルシリーズの誕生秘話① ~とんぼラベル~

とんぼラベルの登場はこんなところから始まりました。

 

あれは、2002年(平成14年)の年末でした。藤沢市のT酒屋のH社長さんが夜、とつぜん蔵に来られました。話を伺うと「dancyu3月号の日本酒企画の中で来週にも自分が取材される。その際に両脇に一升瓶を抱えて写真に写る予定なので、何か1本新しくキャッチ―なラベルの商品を作れないか?」と。うちの蔵をとても押してくれている酒販店さんのありがたい言葉でした。

さて、時間もない中でどうしようかという話になりました。結果として落款印として使っている「とんぼマーク」をラベルにしようということに。また私もいつかラベルにしてみたい、と考えていたところでもありました。

 

とんぼマークのお酒、その中身は?

ラベルデザインは決まったので、次は当然中身のお酒はどうしよう?という話にもなります。突然に降って湧いたような話だったので、もちろん何か製造計画にあるものでもなく、新商品の企画もあったわけではなく、更に、何か新規性も必要だし、はてどうしたものかと思案しました。

そして、結果として、槽口から出て来たばかりのお酒をビンに直接詰める、という「槽場(ふなば)直詰め 無濾過生原酒」という方法で製品化しようということになりました。

 

槽場直詰め無濾過生原酒、生まれた訳は?

当時T酒屋さんが、特別なお客様向けに販売していた商品からのヒントがありました。それは、槽口からチョロチョロと絞れてくる生原酒を直接斗ビン(18リットルのガラス瓶)に採り、その斗ビンごと販売していました。

通常の生原酒は、一度絞った後にオリ引き後に改めてビン詰め充填機で製品化します。この場合は、タンクからタンクへの移動時にポンプも使い、どうしても少しずつ酸化は免れないもの。

しかしながら、この直接ビンに詰めた生原酒は、お酒の酸化がほぼ皆無、細かなガス感が残り、とても評判が良かったのです。

その経験を活かし、とんぼラベルのお酒は、直接1800mlビンに生原酒を詰めたものにしようと決まった次第です。

dancyuで「赤とんぼ」のお酒がお披露目へ

ラベルの撮影用サンプルは、高桑美術印刷さんに翌日依頼し、数日後には無事撮影に。(後日談ですが、2022年の今でもT酒屋さんはこの時の撮影に使用したお酒を保管中だとか)

さて、当時プレジデント社のdancyuでは、毎年3月号(2月初旬発売)では日本酒特集が恒例となっており、全国の酒蔵から酒販店、飲食店まで注目される企画となっていました。

2003年2月号で目出度く「T酒屋さん」は紙面で紹介され、当時の日本酒業界としては異例の昆虫ラベル「赤とんぼ」のお披露目になりました。

そして、掲載後多くの問合せと共に、T酒屋さんは自身のお店だけでこのラベルのお酒を独占することなく、2003年は凡そ300匹の生まれたままのトンボが巣立っていきました。以後、このトンボラベルは、泉橋酒造の営業上でも需要な顔のひとつとなっています。

とんぼラベルの製品化のキッカケを頂きましたT酒店さま、dancyu編集部さまありがとうございます。

2022年3月 蔵元・橋場友一

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