蔵元日記

蔵元日記

2012/10/23

2012黒とんぼ・生酛の発売です

 私ども泉橋酒造では、酒造りは総合力だと常々考えています。

自然環境から始まり、田んぼ、米作り、精米、仕込みとすべてがキチット機能しあって初めて心から美味しいと思えるものだと。

 

 そんな中、もう5、6年前になるのでしょうか。

 

それまでは、無農薬でも、減農薬でも、下手したらバリバリ農薬を使用したお米でも出来上がったお酒の味わいは変わらないのではないのか?果たして、人間はその味の差がわかるものなのか、もしかしたら、わからないのではないのかと考えていました。

 

しかし、無農薬で作っていたお米で山廃もと(やまはい)仕込みのお酒を造ったときのことです。確かに出来上がったお酒の味わいが何かが違う、気づかされました。辛口なのにキメの細かい旨み・甘み、優しさ、そして、安心感。そんなお酒の奥深さ・奥行きにあらためて気づきました。

なにより、暖かく包み込まれるような滋味深いもの、そして、旨いものでした。

 

その時、酒造りはバランスが大切なんだ、と昔、大先生が云われていたことをふと思い出しました。

米作りは極力肥料と農薬を使わずに行い、丁寧に精米を行い、米を甑で蒸し、麹蓋を使ってこうじ作りをして、小仕込みを行い、最後には酒袋でしぼり、活性炭濾過も一切しない。そんな一連の流れの作業は、現代の酒造りではあるけれど、昔の酒造りでもあります。

一連の流れ・作業が手造りであるのに途中の工程がやたら現代的にはバランスが悪いのではないか。それならば、酵母を育てる酒母(しゅぼ)作りもひとつ昔のものであることが全体のバランスがよくなるのだと。

つまり、山廃もと造りや生もと造り、こそが、実はうちの酒造りには調和するに違いないのだと。

 以来、泉橋酒造では、生もと系の酒造りを増やし、全体の35%ほどになっています。

そんな生もとの商品のご紹介です。

 

 今年は、原酒でビン詰めをしておりますが、いづみ橋らしく辛口でありながら、生酛らしいキメの細かい酸味・旨みの詰まった爽やかなお酒です。

 季節に合わせてお燗酒でもお楽しみ下さい。出来上がったそのままをお届けするために原酒でのビン詰めです。お好みに合わせて少しお水を加えてアルコール分を調整して頂くこともできます。

 

 黒蜻蛉は、ショウジョウトンボをモデルとしています。

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