とんぼマークの始まりは?
★最近は、泉橋酒造といえば、お客様の中では「とんぼマーク」を知らない人はいないかもしれないし、今やとんぼラベルシリーズは、泉橋酒造を最も助けてくれている”勝ち虫”そのものでもあります。そんなとんぼマークは誰が考えたの?、どうやって出来たの?どんな意味があるの?という質問はとても多いです。その解答です。
とんぼマークの始まりは、米作りを始めた頃にさかのぼります
私は昔から筆書きが好きで(上手いという意味ではありません)、折につけ年賀状や手紙やお礼状などを筆で書くことが多かった。初めて勤めた会社でも新人研修カリキュラムの中に「新規開拓ツールとして筆と巻紙で手紙を書く」というものまであった。こんな感じだったので、泉橋酒造に入社してからも、筆(筆ペン)は年賀状やお礼状に使っていました。
そこで、書道といえばカッコいい「落款」が欲しかった。また、1995年当時新しい「いづみ橋」のロゴを作ったばかりでもあり、そこにも新しいロゴをひき立てる落款印が欲しかった。
田んぼでの出会い
当時は田んぼでの酒米の栽培を始めたばかりでしたが、田んぼでは様々な動植物、特に昆虫に出会います。その中でひときわカッコよく、人懐っこく、そして、前にしか進まないという勇ましい「赤とんぼ」を落款のデザインにしたい!と閃いたんだと思います。
また、農業において農薬をバンバン使ったらとんぼが死んでしまう、とんぼなど田んぼに生きる動植物を無闇と殺さないような農業をしなければならない、環境保全型の農業が必要だ、そんなことも考えていたように思います。
とんぼ印の落款がほしい!
さて、当時1995年5月に私は結婚し、家内・由紀の叔父さん(小沢研二氏)は、中国で2番目に古いといわれる「篆書体(てんしょたい)」の使い手でもあり器用でかつ多趣味。1996年からの仕込み蔵の大改装後の各製造室の看板や酒友館の看板を無償で作って頂いていた。とてもお世話になっていました。
そして当然のごとく叔父さんに依頼したのが、稲にそっと留まるとんぼをモチーフにした落款印。当時の叔父さんはまだ現役だったので忙しかったはずである。案の定、依頼した落款印がなかなか出来上がらなかったのである(当たり前です)。
そこで、今もお付き合いしている高桑美術印刷さんに「大山を背景に飛ぶとんぼのデザイン」を作って頂いた。ついに本来依頼していた落款印に対して、サブとして簡易的に、しかも先に出来上がったのが、今のとんぼマークでした。
それ以降、手紙やお酒のラベルにも使いだした落款。これが「とんぼマーク」のはじまりです。
(写真)お馴染みのとんぼマーク。いまや日本だけでなく世界でも商標を取得しています。
おそらく、最初にとんぼの落款印が入ったラベルは、2000年に初リリースの「恵 青ラベル」。以後、新商品にはこの落款印が入っている。
その後、叔父に依頼していた落款は無事出来上がりました。そして、泉橋酒造として特別な時のみ押印として使わせて頂いております。
(写真)本当はこのデザインになるはずだったとんぼの落款イメージ
これが、とんぼマークの登場です。
次の機会に「とんぼのラベルのお酒」がどうやって登場したかを書き留めます。
2020年7月 蔵元・橋場友一